脂肪吸引で変わるのはどこ?
お腹の解剖から考える、皮下脂肪・内臓脂肪・LSSA(エルサ)をやさしく解説
「お腹を細くしたいけれど、脂肪吸引でどこまで変わるの?」というご相談を、下北沢・世田谷エリアの患者さんから多くいただきます。結論からお伝えすると、脂肪吸引で直接減らせるのは皮膚の下にある皮下脂肪で、筋肉より奥の内臓脂肪は吸引できません。このコラムでは、お腹の層構造、脂肪吸引の主なターゲット、超音波で脂肪を乳化してから吸引するLSSA(エルサ)の位置づけ、ダウンタイムの経過、費用とリスクを、図と表で整理します。このコラムでは、ご相談の多い腹部を例に解説していきます。なお、当院では顔・二の腕・太もも・ふくらはぎ・背中など、全身の脂肪吸引に対応しています。
お腹のふくらみは「皮下脂肪」と「内臓脂肪」で違う
脂肪吸引で変化を出せるのは皮下脂肪で、内臓脂肪は対象外です。お腹の皮膚の下には、浅筋膜(せんきんまく)を境に浅層脂肪(SF)と深層脂肪(DF)があり、そのさらに奥に腹壁の筋肉、腹膜、そして腹腔内の内臓脂肪があります。腹部の脂肪吸引の主なターゲットは、浅筋膜より深く、筋肉より浅い位置にあるDFです。
| 層 | 見た目への影響 | 脂肪吸引との関係 |
|---|---|---|
| SF(浅層脂肪) | 皮膚直下の厚み、表面のなめらかさ | 仕上げの調整層。吸引は少量・均一に行う |
| DF(深層脂肪) | 下腹部やわき腹の局所的なボリューム | 脂肪吸引の主なターゲット |
| 腹壁の筋肉・筋膜 | 硬い張り、腹直筋離開、姿勢による出っ張り | 脂肪吸引では変化しない |
| 内臓脂肪 | お腹の内側から前へ押し出す厚み | 対象外。体重管理・内科的な評価を検討 |
| 皮膚の余り | しわ、下垂、エプロン状のたるみ | 脂肪を減らすだけでは残ることがある |
腹部の脂肪吸引は、深い脂肪を減らし浅い脂肪で輪郭を整える
腹部の脂肪吸引は、まずDFの量を減らし、必要な範囲でSFを慎重に整えることで、厚みと表面のなめらかさを両立させます。DFはSFより粗い構造で、比較的大きな脂肪のかたまりからできており、解剖学的な研究でも浅筋膜より深い層が脂肪吸引の主な標的とされています。SFは皮膚に近く、線維の仕切りや血管網と密接につながっているため、取りすぎると段差、波打ち、皮膚の癒着、色調の変化につながることがあります。
また、お腹は上腹部・下腹部・ウエスト・腰が連続した立体です。下腹部だけを深く吸引しても、周囲との境目が残ると自然な曲線になりません。当院では、お腹を区域ごとに分けて考え、立った姿勢で脂肪の分布と左右差を確認したうえで、吸引する範囲・整える範囲・あえて厚みを残す範囲をデザインします。複数の方向からカニューレを通す「クリスクロッシング」で、1本の溝ではなく面として均一に整えることを目指します。
- 皮下脂肪の厚み、DFとSFの分布
- 皮膚の弾力、妊娠・出産や大幅な減量の経験
- 腹直筋離開やヘルニアの疑い
- 内臓脂肪を示唆する硬い張り
- 過去の手術歴と傷あと
- 希望するウエストラインと、隣り合う区域(ウエスト・腰)とのつながり
LSSA(エルサ)併用とは?超音波で脂肪を乳化してから吸引する方法
LSSA(エルサ)は、超音波のエネルギーを脂肪層に伝え、脂肪細胞を周りの組織からはがして乳化した状態で吸引する機器です。当院では、通常のSSC式脂肪吸引にLSSAを併用することができます。吸引量を増やすこと自体を目的にするのではなく、DFの取り残しを減らし、周囲とのつながりをなめらかに整えるために使用します。
LSSAを併用する3つの目的
1.吸引の均一性:乳化により脂肪を回収しやすくなるため、DFが厚い部位や線維が多い部位でも、計画した範囲を均一に吸引しやすくなります。安全な範囲と残す厚みを優先します。
2.皮膚の引き締めの補助:超音波の熱作用により、皮下組織の収縮が期待できるとされています。ただし、皮膚の余りが大きい場合は、LSSAだけでは解消できないことがあります。
3.脂肪注入への活用:適切に回収・処理した脂肪は、脂肪注入(豊胸など)に使用できる場合があります。生着には、採取・処理の方法や注入する部位の状態など多くの要因が関わります。
脂肪吸引だけで足りないとき|下北沢の当院で組み合わせる治療
脂肪吸引が得意なのは、DFを中心とした局所の皮下脂肪です。しかし「太って見える」原因には、全身の体重、食欲、内臓脂肪、皮膚のゆるみ、顔の組織の下垂、小範囲の脂肪などが混ざっています。当院では診察で原因を分け、目的とダウンタイムに合わせて治療を選びます。
内服治療
体重管理や食習慣を整えたい方には、既往歴・体重・検査結果を踏まえ、医師の判断で内服薬(GLP-1受容体作動薬の内服薬など)や漢方薬を処方することがあります。GLP-1受容体作動薬の国内承認は2型糖尿病の治療であり、体重を減らす目的での使用は適応外となります。高周波治療
皮下組織に熱を加え、皮膚の引き締めや、脂肪吸引後のむくみ・硬さのケアを補助します。当院では高周波機器(PIAMO)を、術後の状態に合わせて使用することがあります。糸リフト
顔の輪郭では、脂肪の量だけでなく頬やフェイスラインの下垂が関わります。組織の位置を整える必要がある場合は、脂肪吸引と糸リフトの併用を検討します。脂肪溶解注射
小範囲の脂肪や、手術を希望しない部位に検討します。広い範囲のDFを一度に減らす治療ではないため、必要な回数と期待できる変化を診察でご説明します。| 主な悩み | 関係しやすい原因 | 検討する治療 |
|---|---|---|
| 下腹部をつまめる | DFを中心とした皮下脂肪 | 脂肪吸引/LSSA併用 |
| お腹全体が硬く前へ出る | 内臓脂肪、腹壁、お腹の張り | 内服・生活習慣の見直し、必要に応じて内科的評価 |
| あご下の脂肪と輪郭のゆるみ | 皮下脂肪+組織の下垂 | 脂肪吸引+糸リフト/高周波 |
| ごく小さい脂肪のふくらみ | 限られた範囲の皮下脂肪 | 脂肪溶解注射/脂肪吸引 |
| 吸引後のむくみ・硬さ | 術後の反応、拘縮 | 圧迫・経過診察・高周波ケア |
顔から足首まで|下北沢スキンクリニックの全身の脂肪吸引
当院では、お腹だけでなく全身の脂肪吸引を行っています。このコラムで解説した「層を意識したデザイン」「区域ごとの計画」「クリスクロッシング」「必要に応じたLSSA併用」という考え方は、お腹以外の部位にも共通です。顔では輪郭と皮膚の薄さ、二の腕では肩や背中とのつながり、太ももではおしりや膝上とのバランスなど、部位ごとの特徴に合わせて範囲をデザインします。
| エリア | 主な部位 | 1部位の通常価格(税込) |
|---|---|---|
| 顔 | 頬・顎下・メーラー・ジョール | 132,000円 |
| 二の腕 | 二の腕・肩・付け根・副乳 | 147,000円 |
| お腹 | 上腹・下腹・ウエスト・腰 | 162,000円 |
| 太もも | 外・後・臀・上内・下内・前 | 184,000円 |
| 下腿 | 下腿・足首 | 220,000円 |
| その他 | 背中上・背中下・ドテ | 142,000円 |
| 胸(男性) | 胸/胸+乳腺切除 | 330,000円/550,000円 |
腹部脂肪吸引のダウンタイム|経過と圧迫の目安
脂肪吸引の仕上がりは、数日ではなく数か月で評価します。腫れや内出血は2週間程度、術後2週間ごろからは硬さやつっぱり(拘縮)を感じることがあり、輪郭が落ち着く目安は3〜6か月です。初期のむくみや左右差だけで完成形を判断せず、診察で経過を確認します。経過には個人差があります。
| 時期 | 主な症状 | 診察・ケアの目安 |
|---|---|---|
| 当日〜1週 | 腫れ・内出血・筋肉痛のような痛み | 翌日までは包帯で圧迫し、その後は圧迫着を着用。シャワーは翌日から、入浴は抜糸(約1週間)まで控える |
| 2〜3週 | むくみが残り、硬さが始まることがある | 圧迫着を継続。傷と皮膚の状態を診察 |
| 1か月前後 | 拘縮・つっぱり・感覚の変化 | ボディの圧迫着は1か月が目安。状態に応じて高周波ケア |
| 3〜6か月 | むくみと拘縮が落ち着き、輪郭が完成へ | 左右差や残った脂肪を含めて最終評価 |
費用・リスク・副作用(自由診療)
脂肪吸引・LSSA・脂肪溶解注射・高周波治療は、いずれも自由診療(保険適用外)です。以下は2026年10月時点の料金表に基づく金額(税込)です。最新の金額は料金表でご確認ください。
| 施術名 | 通常価格(税込) | モニター価格(税込) |
|---|---|---|
| お腹エリア 1部位 (上腹・下腹・ウエスト・腰) | 162,000円 | 100,000円(2部位以上から) |
| 【セット】上腹・下腹・ウエスト・腰 | 552,000円 | 400,000円 |
| 超音波(LSSA)1部位 | 40,000円 | 20,000円 |
| 脂肪溶解注射 1cc | 8,800円(他施術併用時 3,500円) | — |
| PIAMO ボディ1ブロック | 22,000円(1ブロック=10×10cm) | — |
- 費用について
- 麻酔は静脈麻酔または全身麻酔で、麻酔代は別途かかります(静脈鎮静鎮痛麻酔法 55,000円、全身麻酔 77,000円、麻酔科管理料 110,000円、採血 6,600円/税込)。モニター価格には写真提供などの条件があり、適用の可否は診察のうえ医師が判断します。
- 主なリスク・副作用
- 腫れ、内出血、痛み、むくみ、硬さ・つっぱり(拘縮)、感覚の変化、左右差、凹凸・陥凹、皮膚のたるみ、色素沈着、傷あと、漿液腫(液体がたまる)、血腫、感染、傷の治りの遅れ。LSSA併用ではやけど・熱による組織損傷。まれに重い合併症として、深部静脈血栓症・肺塞栓症、体液バランスの異常、麻酔に関連する合併症、深部の組織や臓器の損傷などがあります。内服薬・脂肪溶解注射の副作用は、処方・施術前に個別にご説明します。
- 自由診療であること
- 本コラムで紹介した施術は公的医療保険が適用されない自由診療です。効果や経過には個人差があり、仕上がりを保証するものではありません。
患者さんが求めているのは、吸引した脂肪の量そのものではなく、服を着たときのライン、横から見たお腹、ウエストのくびれなどの変化です。「自分のふくらみは皮下脂肪なのか」「脂肪吸引でどこまで変わるのか」「LSSAを使う意味があるのか」を、診察で体に触れながら具体的に確認してください。詳しくは脂肪吸引(総論)・腹部の脂肪吸引・PIAMO・脂肪溶解注射の各ページもご覧ください。
脂肪吸引のよくある質問
脂肪吸引で内臓脂肪は減らせますか?
減らせません。脂肪吸引の対象は筋肉より浅い皮下脂肪で、腹膜より奥の内臓脂肪は対象外です。内臓脂肪には体重管理や内科的な評価を検討します。
お腹の脂肪吸引のダウンタイムはどのくらいですか?
腫れ・内出血は2週間程度、硬さやつっぱりは1か月前後に出やすく、仕上がりの目安は3〜6か月です。経過には個人差があります。
お腹は1部位だけ吸引できますか?
可能ですが、お腹は上腹・下腹・ウエスト・腰がつながった立体のため、自然なラインには隣り合う区域も含めた計画が必要になることが多いです。範囲は診察でご相談ください。
圧迫着はいつまで着ければよいですか?
目安はボディで1か月、顔で1週間です。経過に合わせて医師が調整します。
お腹以外の部位も脂肪吸引できますか?
できます。当院では顔、二の腕、お腹、太もも・おしり、ふくらはぎ・足首、背中、男性の胸など、全身の脂肪吸引に対応しています。
脂肪吸引後にリバウンドしますか?
吸引した部位の脂肪細胞の数は減りますが、残った脂肪細胞は体重の増加で大きくなります。体重が大きく増えると、吸引していない部位も含めて体型が変わることがあります。
お腹の脂肪・体型のご相談は、下北沢スキンクリニックへ
WEB・LINE予約は24時間受付。相談のみのご来院も歓迎です。
監修医師:保坂宗孝(下北沢スキンクリニック)
資格:形成外科専門医・美容外科学会専門医(JSAPS)
下北沢スキンクリニック(形成外科・皮膚科・美容皮膚科・美容外科)
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-26-8 ウェルスクエアプラザ6階
小田急線・京王井の頭線「下北沢駅」徒歩1分
TEL 03-5454-1112
診療時間:10:00〜19:00(最終受付18:30)
休診日:水曜日・日曜日・祝日
参考資料
- 下北沢スキンクリニック「脂肪吸引(総論)」 https://shimokitazawa-skin.com/menu/private/body/liposuction1/
- Johnson D, et al. Computed tomographic observations on subcutaneous fat: implications for liposuction. Plast Reconstr Surg. 1996;97:387-396.
- Janis JE, et al. Liposuction. StatPearls / NCBI Bookshelf(皮下脂肪層と手術解剖)
- Saad A, et al. Quality and Vitality of Autologous Fat Grafts Harvested by Different Techniques. Aesthet Surg J. 2022;42:1416-1424.
- American Society of Plastic Surgeons. Liposuction: risks, recovery and assisted liposuction.
- PMDA「経口セマグルチド製剤 添付文書」
※本コラムは一般的な医学情報です。適応、治療の組み合わせ、内服薬、麻酔、術後の指示は診察により個別に決定します。効果・経過には個人差があります。