粉瘤摘出

粉瘤(アテローマ)とは

医学博士
保坂 千恵子
表皮嚢腫とも呼ばれる、皮膚の下にできる良性のしこりです。毛孔の組織が皮膚の深いところに入り込み、袋状に発達し、袋内部に角質や皮脂が蓄積します。次第に大きくなる性質があり、触ると弾力があって、中央部に黒い点が見えることもあります。
内容物を掻き出すだけでは再発しやすいため、根本治療は外科的処置となります。自分で潰すと感染してしまったり、汚いキズアトになってしまうリスクが高いので要注意です。
感染を繰り返してしまうと、綺麗に切除することが難しくなってしまいます。「粉瘤かな?」と悩まれている方、ぜひ早いうちに当院へ受診されることをオススメ致します。
見て触れば分かる?
粉瘤に特徴的な訴えとして「シコリを押したら臭い、カスみたいなのが出てきた」「大きくなったり小さくなったり、痛くなることもある」があります。多くの場合、見て触って臨床診断をつけることが可能です。超音波でみると、腫瘍は特徴的な画像を呈するため、確実に診断することができます。しかし、小さいタイプの粉瘤では、ニキビとの判別がつきにくいことがあります。

(左)粉瘤とは図のような構造をしています。嚢腫の中に角質や皮脂を溜め込み、開口部で外と連絡しています。(右) 超音波の所見です、粉瘤自体は黒っぽく映ります。
6つのステージに分けられる
ステージ0は正常とします。
ステージ1では、袋を作り、垢が溜まっています。
ステージ2では、袋内に感染を起こし、赤く腫れ上がっています。
ステージ3では、感染が一旦良くなり、腫れが引いています。
ステージ4では、再び感染を起こし、赤く腫れ上がっています。時に、自然に垢や膿が流出してきます。
ステージ5では、感染を繰り返した結果、皮膚の色が茶色っポンく変色し、硬く触れるようになります。

(上)粉瘤の状態は、6つのステージに分類できます。
いつ治療するべきか?
手術はどのタイミングでしたらよいのでしょうか?
治療のポイントは、角質や皮脂を溜め込んだ袋状組織を丸ごと除去することです。感染を繰り返した結果、袋が周囲組織こびりついてしまうと、綺麗に袋を剥がしとることが難しくなります。よって、手術はステージ3までに行うことをお勧めしています。
しかし、現実的には自己判断できないことが多いと思いますので、お気軽にご相談ください。
手術法
当院ではくり抜き法・切除法の2つを実施しております。
くり抜き法では、必要最低限に皮膚を切除し、嚢とアカを取り出すことができます。
切除法では、皮膚を紡錘形に切除し、嚢腫を摘出することができます。
基本的に傷を最小限にするために、くり抜き法を実施しておりますが、再発や炎症を繰り返して癒着が強い場合は、くり抜き法の場合取り残すリスクが出てしまいます。どちらの方法を取るかについては、診察後にご相談させていただきます。
くり抜き法解説






縫合がある場合は、1~2週間後に抜糸します。小さい粉瘤の場合は縫合なしに軟膏とガーゼ保護のみで終了することもあります。後日抜糸、または提出した病理検査の結果説明に再診いただく形になります。
手術後について
術後の一般的な経過
くり抜き法・切除法で異なります。くり抜きでも、切除法と同様に縫合閉鎖できれば、術後1-2週間で抜糸して終了です。くり抜いた後、部分縫合または未縫合の場合、以下のような感じで上皮化を待つ感じとなります。

(上)切除部は空洞化。同部が肉芽で充填され、上皮化する。
術後再発について
再発のリスクはあります。その原因をまとめ、対策を解説していきます。
3つの原因
① 皮膚開口部の取り残し
② 粉瘤”袋”の取り残し
③ 他の疾患との鑑別
それぞれの対策
① 粉瘤には皮膚開口部が存在し、”ヘソ”とも呼ばれます。開口部が分かりにくい、複数存在するなどの場合、取り残す1つの要因となっています。再発した場合には、やや大きめに皮膚切除するようにします。
②粉瘤は、袋状に発達した組織に角質塊(白色粥状物質)が溜まる病気です。特に、一度感染を起こした場合には、癒着の強い(へばりついた) ”袋”となるため、取り残す1つの要因となっています。再発した場合には、炎症を落ち着かせた後に再切除するようにします。
③当院はエコーなどを用いて術前診断の精度向上させて実施しておりますが、鑑別が難しい症例もあります。くり抜き法で切除した際に他の疾患が術中の所見として疑われた場合は切除法などに切り替えて実施することもあります。
ご質問
当日の日帰り手術は可能ですか?
当院は日帰り手術のご予約が24時間ウェブで可能となっております。手術の適応については、当日専門医がしっかりと診断を行ってから実施いたしますので、ご安心ください。
赤く腫れている状態でも手術は可能ですか?
感染を併発している場合はなるべく炎症を鎮静化してから根治術をお勧めします。膿が貯留し痛みを伴う場合は切開排膿処置という応急処置としての手術を行います。当院ではその際なるべく粉瘤の嚢を取り除き再発リスクを抑えるような手術を行っておりますが、癒着が強い、炎症が強く嚢腫壁がはっきりしないような場合などは完全に取り除くことができず、いずれ再発するリスクがあります。その場合は炎症が落ち着いた後に、根治術として取り切ることをお勧めします。
根治術は絶対必要ですか?
感染を繰り返すと跡がしっかりと残る可能性があります。また稀ではありますが、慢性炎症を繰り返して癌が発症したという報告もあります。大きいものや部位によっては感染時の痛みも強く感じやすいため、落ち着いた後に取ることをお勧めします。
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当院は綺麗な内装で患者様がリラックスできる雰囲気となっています。またお通い易いように下北沢駅から徒歩1分の好立地にあります。
当院には医学博士や、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本形成外科学会認定形成外科専門医、日本美容外科学科認定美容外科専門医(JSAPS)、精神保健指定医などの専門医が在籍しています。そのため、あらゆる肌のお悩みや美容のお悩みに対応することができます。また当院の特徴としては保険診療だけでなく美容診療も行えるため、幅広いハイレベルな医療をご提供することが可能です。親しみやすいクリニックなので些細なお悩みでも一度ご相談にいらしていただければと思います。土曜日も診療しています。
住所
〒155-0031
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交通
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診療時間:10:00 ~ 19 : 00(最終受付 18 : 30 )
休診日 /水曜日・日曜日・祝日
このページの監修医

副院長
保坂千恵子
経歴
-
2009年
東北大学医学部医学科卒業 -
2011年
神戸大学医学部附属病院皮膚科 -
2019年
神户大学大学院医学研究科(博士課程)修了 -
2023年
はなふさ皮膚科三鷹院院長 -
2025年
下北沢スキンクリニック勤務
資格
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 医学博士
所属学会
- 日本皮膚科学会
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