水いぼの塗り薬
先日勉強会の後、ホタルを見る機会を得ました。一緒に鑑賞した博識な先生が、ホタルの発光から得た、研究で使用されるルシフェラーゼ酵素についてのお話をしてくださいました。大学院生の時に、免疫蛍光染色していた記憶が浮かび、研究技術の発展が、医学の進歩に繋がります。ホタルの光を美しく鑑賞するにとどまらず、原理や応用について追及された発想、思考の素晴らしさを改めて感じる時間になりました。
今回のコラムの水いぼの新薬は、「カンタリジン」という成分が主成分の外用薬です。この成分は、ツチハンミョウという虫の毒になります。この虫が敵に襲われると出る体液に含まれ、人間の皮膚につくと、水ぶくれができます。この作用を使って、水いぼのウィルスを退治する治療薬として開発されました。
昆虫の持つ不思議な力が、研究応用されたり、巡り巡って、子供たちの水いぼ治療の新薬になったりと、身近なところにまだまだ神秘が潜んでいますね。
水いぼとは?
この時期小さいお子様のご相談で多い疾患になります。
伝染性軟属腫ウィルスが原因でできる小さいイボのような盛り上がりです。無症状のこともあれば、かゆみを伴うこともあります。体幹や四肢、外陰部や下腹部、大腿内側などにできやすく、搔きむしってしまうことで、周囲に感染拡大する可能性があります。
治療について
放置していても、体内に免疫ができると自然に治癒することもあります。数が急激に増えている場合や、かゆみが強くて掻き壊してしまう場合などは治療対象になります。
また保育園や幼稚園などの集団生活する上で、特にこの時期は水遊びが始まりますので、感染拡大への配慮も必要になります。基本的には水自体から感染することはほぼありません。浮き輪やビート板、肌が直接触れ合うことで感染するリスクが高まりますので、症状がある部位についてはラッシュガードの着用やテープ保護などの対応が必要になる可能性があります。
1,ピンセットでの摘除
従来からある治療法です。痛み緩和のために、麻酔テープを事前に貼付してご来院いただき、専用のピンセットで水いぼを挟んで摘除します。テープを使用しても痛みを伴う点が難点です。完全に除去しきれなくても、数の増加が落ち着いていれば、残りは本人の免疫力で治癒することも多いので、無理ない範囲内で、保護者の方ともご相談しながら進めます。
2,ワイキャンス外用液
今回2歳以上のお子様の水いぼに、新たに適応になった治療薬です。
ワイキャンス外用液を塗る行為自体は、痛みはないのですが、徐々に水ぶくれができる過程で痛みやかゆみの症状が生じることがあります。16~24時間後に洗い流しますが、途中の症状が強ければ、短時間であったとしても洗い流してください。
塗布した部位は触ったりなめたりしないように、部位やお子様によっては、包帯などの保護も併用します。
薬剤の塗布は病院で行います。他の部位につかないように乾くまでの間、じっとしておく必要があります。
最終的にかさぶたになって治癒していきます。次の処置は3週間以上あけて行います。平均して3~4回程度の処置を繰り返すことで、約半数~7割以上のお子様で水いぼの完全消失が報告されています。処置部位は赤みを帯びた後、炎症後色素沈着となるリスクがあります。数か月かけて徐々に薄くなっていきます。
気になる症状、皮膚のトラブルがあれば、お気軽にご相談ください。