ワキガはセルフケアで改善できる?形成外科専門医×美容外科専門医が教えます。
◯イントロ
「ワキガは自力で治せますか?」
「市販の制汗剤だけで充分ですか?」
「吸引法と手術(皮弁法)はどちらが良いのでしょうか?」
下北沢スキンクリニックでは、ワキガ(腋臭症)に関する、このようなご相談を毎日のようにいただいています。
ワキガは、命に関わる病気ではありません。しかし、ニオイが気になって人との距離を気にしたり、服選びや・仕事・学校生活に影響したりと、日常生活の質(QOL)を大きく左右する症状です。
今回のコラムは、「ワキガはセルフケアでどこまで改善できるのか」「本当に効果のあるワキガ対策とは何か」について、形成外科専門医×美容外科専門医の視点から詳しく解説します。
◯ワキガは自然に治るのか?
まず最も多い質問が、「ワキガは自然に治りますか?」というものです。
残念ながら、ワキガが自然に治ることは基本的にありません。理由は、アポクリン汗腺の量や働きによる体質が大きく関係しており、自己努力で消し去ることは医学的にできないからです。
しかし、一方で、加齢に伴って症状が軽くなる方はいます。アポクリン汗腺は思春期に発達し、性成熟とともに活発になり、年齢を重ねるにつれて徐々に活動性が低下するためです。
「治る」のではなく、アポクリン汗腺の働きが弱くなり、結果として症状が軽減すると考えてください。
また、汗腺にはアポクリン汗腺だけでなく、エクリン汗腺もあります。エクリン汗腺による汗分泌を抑えることで、結果として症状が軽減することもあります。
◯ニオイを軽減するには、◯を減らす
ワキガのセルフケアには、大きく分けて2つのポイントがあります。
- 汗の量を減らすこと
- ニオイの原因となる細菌を減らすこと
この2つを意識するだけでも、症状が大きく改善するケースが多いです。
まず、汗腺から分泌された汗が皮膚の細菌によって分解されることで、独特のニオイが発生します。このため、汗の量を減らすことは、ワキガ対策の基本となります。
市販の制汗剤でも効果を認め、例えばパースピレックスがあります。塩化アルミニウムを有効成分とし、汗腺に一時的に栓を作ることで発汗を抑え、3~5日程度効果が持続します。
医療機関で扱う制汗剤には、エクロックゲル・ラピフォートがあります。
これらは、汗を出す指令を伝える神経の働きを抑えることで発汗を減らす「外用抗コリン薬」です。原発性腋窩多汗症(わきの多汗症)の治療薬として承認されており、市販の制汗剤で十分な効果が得られない方にも有効です。
1日1回の使用で効果が期待でき、継続して使用することで発汗をコントロールします。ただし、使用を中止すると効果は徐々に失われるため、継続的な治療が必要です。
副作用として、塗布部位のかぶれやかゆみのほか、まれに口の渇き、かすみ目、便秘などの抗コリン作用による症状が現れることがあります。
つぎに、皮膚の常在菌が汗を分解することでニオイ物質が作られるため、細菌を増やさないことが重要なセルフケアになります。
抗菌成分を配合したボディソープやデオドラント製品を適切に使用することで、細菌の増殖を抑え、ニオイの発生を予防することができます。ただし、洗いすぎや強くこすることは皮膚への刺激となるため、やさしく洗うことを心がけましょう。
◯食事でワキガは改善する?
完全に治すことは難しいものの、食生活が臭いに影響する可能性はあります。特に、
- 牛肉など脂質の多い肉類
- 動物性脂肪
- 高脂肪の乳製品
などを多く摂取した翌日にニオイが強くなると感じる方は少なくありません。これは、脂肪酸やアンモニアなどの代謝産物がアポクリン汗腺から分泌される成分に影響すると考えられているためです。
まずは、バランスの良い食事を意識することが大切でしょう。
◯セルフケアで改善しない場合は、皮弁法または吸引法という選択肢
セルフケアは症状を軽減することはできますが、ワキガの原因であるアポクリン汗腺自体を減らすことはできません。もちろん、エクリン汗腺もです。
そのため、
- 毎日のケアが負担になっている
- ニオイを根本的に改善したい
- 制汗剤だけでは十分な効果が得られない
という方には医療機関での治療をおすすめしています。
下北沢スキンクリニックでは、汗腺を目に見える形で確実に除去できる、皮弁法または吸引法のみを行っています。2回以上の治療を前提とするような機械施術は行っておりません。
患者様一人ひとりの症状やご希望に合わせて、最適な治療法をご提案しています。