保険適用のワキガ手術(剪除法)|仕事はいつから? 〜ダウンタイム・安静について〜
ワキガ(腋臭症)の手術についてご相談いただく際、患者さんから特に多いのが、
「仕事は何日休めばいいですか?」
「手術後、腕は動かせますか?」
「シャワーはいつからできますか?」
「何回くらい通院が必要ですか?」
といった、手術後の生活についてのご質問です。
ワキガ手術を受けたいと思っていても、仕事や学校、家事などを考えると、「実際にいつ手術を受ければいいの?」と迷ってしまいますよね。
そこで今回は、当院で行っている保険適用のワキガ(腋臭症)手術「皮弁法(剪除法)」について、手術後の安静、仕事復帰、シャワー、通院などをできるだけ分かりやすくご説明します。
ワキガ(腋臭症)の皮弁法・剪除法とは?
皮弁法(剪除法)は、ワキの皮膚を切開し、皮膚の裏側を確認しながら、においの原因となるアポクリン汗腺を取り除いていく手術です。
ダウンタイムを理解して正しく行動するためには、手術を理解することがとても大切です。
手術のポイントは3つ。
・皮下にスペースができる

・ドレーンが入ってる

・2層で縫って、キズを癒着させている

術後は、ビニール製の柔らかいチューブが脱血させ、髪の毛よりも細い糸で傷口を癒着させているイメージです。
手術後の1週間、どう過ごす?
皮弁法(剪除法)の術後は、皮膚の下に血液がたまる「血腫」を防ぎ、皮膚をきれいに生着させるために、最初の1週間の安静と圧迫固定がとても重要です。痛みや腫れには個人差がありますが、日ごとの目安を知っておくと、安心して術後を過ごしやすくなります。
術後24時間以内
手術後から翌日の診察までは、原則としてワキを包帯でしっかり圧迫します。これは、皮膚の下に血液がたまることを防ぎ、手術した皮膚を下の組織に密着させるためです。圧迫による窮屈さや、手術の影響による痛み・腫れ・しびれ・手の違和感がみられることがあります。
当日はできるだけ安静にし、腕を肩より上に挙げる・重い物を持つ・車や自転車を運転する・家事や育児で腕を大きく動かすといった動作は控えてください。安静が保てないと、創部から出血し、ドレーン(血抜きの管)から濃い血液が多く出ることがあります。
飲酒・運動・長時間の外出・入浴は血流を増やして出血を助長する可能性があるため控えます。お薬は医師の指示どおりに服用してください。
翌日〜5日目
翌日の診察で創部や出血の状態を確認し、問題がなければ包帯による圧迫を外して、ガーゼによる圧迫に切り替えます。包帯が外れるため、手術直後よりは動きやすくなりますが、皮膚はまだ十分に安定していません。
この時期は、痛み・腫れ・内出血が残り、ワキを動かしたときのつっぱり感がみられます。軽い内出血は徐々に黄色っぽく変化しながら薄くなります。左右で腫れ方や痛み方が多少異なることもあります。
デスクワークなど腕の動きが少ない作業は可能な場合もありますが、通勤時のつり革・荷物の持ち運び・着替えなどでもワキに負担がかかります。無理に腕を広げず、できるだけ安静に過ごしてください。
創部を濡らさないよう十分に保護すれば、下半身を中心とした短時間のシャワーは可能です。ただし、洗髪や着替えの際も腕を高く挙げないように注意してください。
5日目〜7日目
術後5日目を目安に圧迫を解除します。この頃には、腕を無理なく動かせる範囲が少しずつ広がり、90度弱まで開けるようになる方が多くなります。固定が外れるため日常生活はかなり楽になりますが、まだ抜糸前であり、傷が完全に治ったわけではありません。
急に腕を伸ばしたり、大きく挙げたりすると、創部に強い力がかかります。重い物を持つ・運転する・運動する・腕を大きく使う家事や仕事は、引き続き控えてください。
ドレーンを抜いた部分が完全に閉じていないことがあるため、創部に軽くシャワー水がかかる程度にします。赤みや腫れが急に強くなった場合は、次の診察日を待たずにご連絡ください。
7日目
術後7日目は、原則として抜糸を行います。創部の状態を確認し、問題がなければ糸を外します。この頃には腕を90度程度まで開けられる方が多いですが、回復の速さには個人差があります。痛みやつっぱりがある状態で無理に広げる必要はありません。
抜糸後、創部の状態に問題がなければ、ワキを直接濡らせるようになります。ただし、湯船につかることができる時期は創部の状態によって異なります。入浴を再開する前に、必ず診察時に医師へ確認してください。
7日目以降
抜糸後は、医師の指示に従い、入浴後など皮膚がやわらかくなっているときに少しずつワキを広げるリハビリを始めます。一度に強く伸ばすのではなく、痛みや傷の状態を見ながら、毎日少しずつ動かす範囲を広げていきます。
術後2週間頃までは、腫れ・内出血・つっぱり感が残ることがあります。術後1か月頃には、つっぱり感がありながらも、腕をほぼ180度まで挙げられる方が多くなります。
術後1〜3か月は、傷の赤み、硬さ、皮膚の凹凸、色素沈着、感覚の鈍さなどが気になることがあります。多くは時間とともに落ち着きますが、傷跡が完成するまでには一般に数か月から1年程度かかります。傷の治り方には個人差があるため、自己判断で強くマッサージしたり、市販薬を使用したりせず、経過診察でご相談ください。
急激に腫れる・片側だけ強く盛り上がる・痛みが急に増える・圧迫しても出血が続く・皮膚が黒っぽく変色する・膿が出る・悪臭がする・発熱がある場合は、血腫や感染、皮膚の血流障害などの可能性があります。次回の予約日を待たず、早めに当院へご連絡ください。
職業別に考える
「手術後の1週間、どう過ごす?」を読んだうえで、次に気になるのが「自分の仕事には、いつから戻れるのか?」という点だと思います。
少なくとも圧迫解除までは仕事を休めるように調整し、抜糸まではワキに負担をかけない生活をおすすめします。腕を大きく使う仕事や力仕事では、術後2〜3週間程度の安静または業務制限が必要になることがあります。
なお、「仕事に復帰できること」と「普段どおりに腕を使えること」は同じではありません。復帰後も、腕を肩より上に挙げる、重い物を持つ、強く引っ張る、とっさに腕を伸ばすといった動作は避けてください。以下は一般的な目安であり、手術範囲や創部の状態によって前後します。
SE、事務系、在宅ワーク
パソコン作業が中心で、腕を大きく動かさない仕事は、比較的早く復帰しやすい職種です。ただし、手術当日から翌日の診察までは仕事をせず、しっかり休んでください。
在宅勤務であれば、体調に問題がなく、ワキを締めた姿勢で作業できる場合、術後数日から短時間の作業を始められることがあります。通勤が必要な事務職は、混雑した電車でつり革を持つ・重いバッグを持つ・人とぶつかりそうになって腕を急に動かすなどの危険があるため、可能であれば術後5日目の圧迫解除後、より安心なのは術後7日目の抜糸後からの復帰です。
キーボードやマウスは、肘を体の近くに置いた姿勢で使用します。長時間連続して作業せず、痛みやつっぱりを感じたら休憩してください。制服がある場合は、前開きで、ワキを大きく広げなくても着脱できる、ゆったりしたサイズを準備しておくと安心です。
サービス業 (ワキを使わないもの)
受付・レジ・電話対応・案内業務など、腕を肩より上に挙げず、重い物を持たない仕事が該当します。創部の状態に問題がなければ、術後3日頃からの復帰を検討できます。
ただし、長時間の立ち仕事・頻繁な着替え・商品や備品の運搬・混雑した場所での接客は、想像以上にワキへ負担がかかります。復帰直後は勤務時間を短くする、品出しや荷物運びを外してもらうなど、業務内容を調整できると安心です。
制服は、かぶって着るタイプや体に密着するものを避け、前開きでゆったりしたものを選びましょう。痛みが増す・創部に熱感が出る・ガーゼに血液が増える場合は仕事を中止し、当院へご連絡ください。
サービス業 (ワキを使うもの)
美容師・理容師・販売の品出し・清掃・客室整備など、腕を繰り返し挙げる仕事では、デスクワークより長めの安静期間が必要です。抜糸前の復帰は避け、術後5日間のお休みを確保してください。
仕事へ戻った後も、術後2〜3週間は腕を肩より上に挙げ続ける作業・重い物の持ち運び・強い力で押す・引く動作を控える必要があります。片側ずつ短時間の作業から始める・作業台を低くする・腕を使う業務を一時的に外してもらうなどの調整をおすすめします。
腕を挙げた際につっぱりや痛みがある場合は、無理に仕事を続けないでください。復帰できる時期は担当する作業によって大きく異なるため、手術前に具体的な仕事内容を医師へお伝えください。
看護師、介護士、保育士
看護・介護・保育の仕事では、患者さまや利用者さまお子さまを抱える支える・移乗させる・とっさに手を伸ばすなど、予測できない動作が多くなります。自分では軽作業のつもりでも、急に強い力がワキへかかる可能性があります。
少なくとも抜糸までは仕事を休むことをオススメします。復帰後も術後2〜3週間は、抱きかかえ・移乗介助・入浴介助・ベッドメイキング・処置台より高い位置の物品を取る作業などを避け、記録や座位での業務を中心にしてください。
夜勤は、休息が取りにくく、とっさの対応や力仕事が発生しやすいため、通常業務に慣れてから再開するのが安心です。業務制限が難しい場合は、復帰時期について事前に勤務先と十分に相談してください。
調理師、運送業、建設業など
倉庫作業、製造業、スポーツ指導などもこちらに含まれます。重量物を持つ・腕を高く挙げる・強く押す・引く・汗を多くかくといった動作が多く、創部への負担が大きい職種です。
原則として抜糸までは仕事を休み、その後も術後2〜3週間程度は安静または軽作業への変更が必要です。重い荷物の積み下ろし・高所作業・工具の使用、・大きな鍋や食材の運搬・長時間の運転などは、医師の許可が出るまで控えてください。
運転では、ハンドル操作だけでなく、急な回避動作やシートベルトによる圧迫がワキに負担をかけます。痛みなく安全確認や急ハンドルができ、創部の状態に問題がないことを確認してから再開します。
無理に早く復帰すると、血腫や傷の治りの遅れにつながり、結果として仕事を休む期間が長くなる可能性があります。仕事内容に応じて必要な休業期間を手術前に相談し、可能であれば復帰後しばらくは軽作業に変更してもらいましょう。
ご来院を心よりお待ちしております
以上を参考に、ご自身の仕事内容や生活状況に合わせて、無理のないスケジュールを組んでいただければと思います。
必要な安静期間は、手術範囲や仕事内容、術後の経過によって異なります。「何日くらい仕事を休めばよいか」「この仕事はいつから再開できるか」など、ご不安な点がございましたら、診察時にお気軽にご相談ください。
下北沢スキンクリニックでは、腋臭症(ワキガ)に対する皮弁法を保険診療で行っています。両側同日の手術にも対応しております。手術をご検討の方は、下記リンクよりご予約ください。
https://shimokitazawa-skin.com/menu/prs/wakiga/
※皮弁法の適応および保険適用については、診察のうえで医師が判断します。